曲げ剛性
曲げ剛性 — 板がたわみにくさを表す指標で、同じ材質なら厚みの3乗に比例して上がります。つまり3mmを4mmにするだけで剛性は約2.4倍、5mmにすれば約4.6倍になります。板厚の選び方を「1mm刻みの価格表」ではなく「用途別の剛性の階段」として考える理由はここにあります。
公称厚と実測厚
公称厚と実測厚 — アクリル板は一般的に、呼称の3mmが実測2.7〜2.8mm前後で出荷されます。ダボ穴や差込溝の設計を実寸ではなく呼称で決めると、現物が入らない、あるいは逆さにすると部品が落ちる、というトラブルになります。図面には必ず公差付きの実測厚を入れるのが原則です。
| 蓋・小物ケース・保護プレート | 2〜3mm |
|---|---|
| 仕切り・整理トレー・小物陳列 | 3〜4mm |
| 展示スタンド・ボックス什器 | 4〜5mm |
| 物を受ける棚板・耐荷重のある面 | 6mm以上、スパン次第でそれ以上 |
厚みは「剛性の階段」で選ぶ
板厚の選び方でいちばん多い誤解は、厚みを1mm刻みの連続値として価格表から選ぶことです。同じ材質の板なら剛性は厚みの3乗に比例して上がるため、刻みは等価ではなく階段になります。3mmの板が心もとなくて5mmにすると剛性は4倍以上、体感では「別の素材」です。逆に、4mmで十分な用途に8mmを使うと、重さ・運賃・材料費を余分に払い、剛性は使われないまま余ります。だから決め手になるのは価格表ではなく、載せる物と置き面の条件です。
呼称で設計すると現物で破綻する
3mmと呼んでいる板の実測が2.7〜2.8mm程度に振れるのは、押出・キャストいずれの工程でも一般的な話です。設計側が呼称のまま穴や溝を入れると、現物で差し込みがきつすぎたり、逆にガタで部品が落ちたりします。特に複数の部品を組み合わせる什器では、1枚ごとのズレが累計で効きます。図面に公差付きの実測厚を書き、こちらの図面と相手の在庫材を突き合わせる工程を発注前に置く。これだけで、届いてから組み上がらないという最悪の往復はほぼ消えます。
発注前に決めるべき2つの数字
載せる物の重量と、それを支える面の「幅」(スパン)です。この2つが決まれば厚みは階段から選べますし、決まっていないとどの提案も検証できません。サンプルを最初に置くとき、空の状態で反りを見て、想定重量を一週間置いた後の姿を見る。この確認を先に済ませる買い手は、量産でのやり直しをほぼ経験しません。
安くしたいので全部一番薄い板にしてもいいですか?
小物入れやカバーなら問題ありませんが、棚板や陳列面で薄板を選ぶと、たわみが「見た目の問題」ではなく「物を落とす安全の問題」になります。薄い板に払う節約額は、反って使えなくなった枚数で消えることが多いです。載せる物の重量と置き面の幅が決まっていれば、その2つから逆算して厚みを決めるほうが結果的に安くなります。
新品と再生材はどこで見分けますか?
切断面と光のかかり方を見ます。品質の低い材料は切断面が白っぽく濁り、光をかざすと内部に筋やゆがみが見えることがあります。たわみや反りが大きい材は組み立て後に隙間を生みます。価格が極端に安い材はこの確認を特に向き、少量のサンプルで現物を見てから本発注にするのが安全です。